日本人類学会賞
日本人類学会賞は、著しく優れた業績をあげた会員に対し、その研究業績を顕彰するために贈られるものです。受賞者は日本人類学会学術大会において表彰され、特別講演がおこなわれます。
第2回受賞者(2020)
松村 博文
松村氏は、アジア各地で自ら発掘調査を手掛け、人骨等の先史資料を多数発見するとともに、アジア各地に収蔵されている人骨資料の効果的利用を実現することで人類史の研究基盤の充実を図った。それらの研究結果から「ユーラシア東部におけるホモ・サピエンス拡散の二層モデル」を提唱し、当該地域の人類史研究の発展に著しく貢献した。
第1回受賞者(2011)
諏訪 元
諏訪氏は1992年12月、約440万年前のラミダス猿人(アルディピテクス・ラミダ ス)の化石を世界で最初に発見し、その後、アメリカのホワイト教授らと共に、2000年代初頭までに得られていたラミダスの化石を詳細に解析し、アウストラロピテクスより古い時代の人類像を世界で初めて明らかにした。特に歯と頭骨の形態解析を主導し、その中で新しい分析法を開発すると共に、骨盤、下肢、上肢の化石骨の形態評価と解釈にも寄与し、さらには古環境、ヒトと類人猿の共通祖先像、ラミダスの進化的意義等に関する新たな諸仮説の提案に大きく貢献した。これらの諸成果は米科学誌サイエンスで8本の論文として発表された。