7月15日(日)

 

シンポジウム9 A会場

人類進化とアフリカの植生

 

オーガナイザー:西田利貞(京都大・理)

 ヒトとアフリカ大型類人猿の共通祖先が森林に住んでいて,ヒトの祖先がサバンナに進出したことによってヒト化の過程が始まったというのは,人類学の長年のドグマであった.つまり,直立二足歩行も道具使用も狩猟も,すべてサバンナ進出とともに始まったと考えられてきた.しかも,二足歩行が始まると,それはホモ・サピエンスに向かって(!)まっすぐに進化していくと考えられてきた.しかし,最近の20年の証拠から,中新世の大型類人猿が本当に森林に住んでいたのか,初期人類がサバンナに住んでいたのか,疑問が呈せられているし,直立二足歩行がホモ属誕生を保証するものでもないことは,すでに明らかである.中新世類人猿やごつ型・やさ型タイプの猿人の生息環境の復元,ヒト以外の大型類人猿のうち,サバンナ環境にも住むチンパンジーの生態,一方では大型類人猿の生息環境と考えられてきた森林に住むホモ・サピエンスの生態を知ることによって,人類進化のプロセスについてより確かな姿を探りたい.

 

8:45   S9-1     中新世の大型類人猿の生息する生物相

巻島美幸(京都大・理)

S9-2     サバンナ・ウッドランドと人類進化

伊谷原一(林原自然科学博物館・人類学研究部)

S9-3     初期人類の環境利用

諏訪元(東京大・総合博物館)

12:00  S9-4     熱帯森林と人類進化

佐藤弘明(浜松医大・社会学教室)

 

 

シンポジウム10 B会場

顎と歯の機能形態学 -霊長類からヒトへ-(歯の人類学分科会シンポジウム)

 

オーガナイザー:金澤英作(日大・松戸歯)

 近年,有限要素法を用いての歯や顎の応力解析の進歩はめざましいものがあり,その解析も2次元から3次元へと複雑さを増している.今回のシンポジウムではそれらのテクニカルな進歩をふまえた上で,もう一度形態にスポットを当てて,歯の形態や植立状態,あるいは顎骨の形態や顎位の意義を霊長類からヒトへの長いスパンの中で討議する.演者は霊長類学・人類学から2名と臨床歯科学から2名であるが,それぞれの分野の比較によりその差異と同一性の確認を目指す.

 

8:45   S10-1    ヒト上科顎骨の生体力学

山下真幸(獨協医大・解剖)

S10-2    アカコロブスにおける咬耗と咀嚼効率の関係

清水大輔(京都大院・理,学振)

S10-3    下顎骨における適応変化の生体力学的解析

槇宏太郎(昭和大・歯),伊能教夫(東工大・理工),柴崎好伸(昭和大・歯)

12:00  S10-4    下顎側方偏位における大臼歯の歯系補償機構

川村全,葛西一貴(日大・松戸歯)

 

 

一般口演:遺伝子多型・ゲノム C会場

 

8:45     C33     霊長類におけるスーパーオキシドディスムターゼの分子進化及びゲノム

解析

福原亮史(京都大学霊長研進化モデルセンター),手塚修文(名古屋大情報文化),影山節(京都大学霊長研進化モデルセンター)

9:00     C34     マダガスカル産原猿類におけるMHC遺伝子の多様性

                郷康広,平井啓久,川本芳(京都大・霊長研),Gilbert RakotoarisoaAlbert Randrianjafy(マダガスカル・チンバザザ動植物園),小山直樹(京都大・アフリカ研)

9:15     C35     チンパンジー主要組織適合複合体(MHC)クラスIIβ鎖コード遺伝子の解

吉川泰弘,八田友紀,久和茂(東京大・農・実験動物),松本芳嗣,小野寺節(東京大・農・応用免疫)

9:30     C36     中国南部漢民族におけるHLA遺伝子多型

杉森芽里奈,大橋順,中伊津美(東京大・医・人類遺伝),斎藤成也,野田令子(遺伝研・進化遺伝),金鋒,王瀝(中国科学院・遺伝研),徳永勝士(東京大・医・人類遺伝)

9:45     C37     アジア人集団において見出されるβグロビン遺伝子群の3'ハプロタイプ

とフレームワークの関係

清水宏次(鳴門教育大),西向弘明,西村浩治,沖浦達幸(愛媛大・医・法医),針原伸二(東京大・理・人類),金鋒(中国科学院・遺伝研),尾本恵市(桃山学院大)

10:00    C38     霊長類におけるモノアミンオキシダーゼA遺伝子の多型解析

井上ー村山美穂,新美陽子,三島徳子,松浦直人(岐阜大・農),竹中修(京都大・霊長研),早坂郁夫(三和化学・熊本霊長類パーク),村山裕一(農水省・家衛試,科技団・科技特)

10:15    C39     霊長類遺伝子データベース

坂手龍一(東京大・理),肥田宗友(東京大・医科研・ゲノム構造解析,国立遺伝研・生命情報研究センター),菅野純夫(東京大・医科研・ゲノム構造解析),橋本雄之(国立感染研・遺伝子資源),早坂郁夫(三和化研・熊本霊長類パーク),寺尾恵治(筑波・霊長類センター),平井百樹(東京大・新領域)

10:30    C40     類人猿とヒトの比較ゲノム解析

斎藤成也,金衝坤,北野誉,嶋田誠,野田令子,高橋文,富木毅,Kirill Kyukov(遺伝研・進化遺伝),

10:45    C41     subtractive hybridizationによるヒトに特異的な塩基配列の単離とその同定

大西啓介,植田信太郎(東京大・院理・生物科学),

11:00    C42     カニクイザル脳由来完全長cDNAライブラリーからの新規遺伝子の探索

及び解析

長田直樹(東京大・理・生物),肥田宗久(東京大・医科研・ゲノム構造解析),楠田潤,田沼玲子,伊関可奈子,平田誠(国立感染研・遺伝子資源),平井百樹(東京大・新領域・先端生命),数藤由美子(東京大・理・生物),橋本雄之(国立感染研・遺伝子資源)

11:15    C43     ヨザル赤緑視物質遺伝子のY染色体転座

                竹中直美,平井百樹,河村正二(東京大・新領域)

11:30    C44     ニホンザルにおけるスギ花粉症の疫学的研究

                泊賢一朗,和秀雄(大阪大・人間科学・生物人類)


公開シンポジウム2 A会場

快適環境新時代:21世紀の過ごし方を考える

 

 

オーガナイザー:黒田末寿(滋賀県立大・人間文化)

科学技術の進歩によって現代人は生活環境の快適化に成功してきたが,一方では体力の弱化,地球温暖化など予期せぬ落とし穴が多くあることも明らかになってきた.このシンポジウムでは人類にとっての快適環境を見直し,そのうえで必要な快適環境を作り出すための基本的な考えとシステムを探りたい.

 

 

13:00      シンポジウム趣旨・パネラー紹介

 黒田末寿(滋賀県立大・人間文化)

                快適性の多様性ー医療人類学の立場からー

                 波平恵美子(お茶の水大・文教)

今様桃源郷への道ー老人生活者の立場からー

                 香原志勢(帝塚山学院大・人間文化)

                快適性と精神性:ジャパニーズ・コンフォートについて

                 栄久庵憲司(株式会社GKデザイン機構 会長)

                人間の快適環境と地球環境

                 加藤尚武(鳥取環境大)

                快適に働くことーアジアのネットワーク経験ー

                 小木和孝(財団法人労働科学研究所 常務理事)

 

         コメント・総合討論

                快適さと製品設計ー人間中心設計を確立するためにー

 藤井秀雪(株式会社七彩・広報・造形企画)

                人類の身体の進化と適応力

                 馬場悠男(国立科博・人類)

自由発言

16:50          日高敏隆(総合地球環境学研)