7月14日(土)午後
シンポジウム7 B会場
ヒトを含む霊長類におけるDNA多型(第18回会遺伝分科会会合)
オーガナイザー:針原伸二(東京大・理・人類)
座長:徳永勝士(東京大・医)
DNA多型は,多くの生物種で認められ,種内変異の実態や集団分化の機構の解明,生態学・行動学などの多様な観点からの研究が進められている.また,特にヒトにおいては医学・医療から,家畜動物や栽培植物においては,系統管理という応用的 な面からの研究が数多くなされている.しかしながら,これまでは異なる生物種のDNA多型を並列的に比較するような視点での議論は乏しかった.本シンポジウムは,異なる分野の研究の交流によって,DNA多型の種を超えた普遍性,種あるいは遺伝子ごとの特殊な事情を浮き彫りにし,生物界の種々の多様性の意義にまでいたる議論を期待している.
発表はヒトについての研究を2題 (清水宏次氏,西向弘明氏),サルについての研究を2題 (嶋田誠氏,竹中修氏)のほか,イヌの研究を1題 (新美陽子氏) を1題, 予定している.霊長類以外の哺乳類の種についても研究を紹介し,さらに広い視野からの議論に期待している.
また,5名の発表者のほか,座長に徳永勝士氏,コメンテーターとして,今西規氏 と村山美穂氏を予定して,それぞれの専門からの議論や問題提起をはかっていただくこととした.
14:30〜 S7-1 南米コロンビアの原住民集団において見出されるアフリカ型のβグロビン遺伝子群ハプロタイプの再検討
清水宏次(鳴門教育大),針原伸二(東京大・理),田島一雄(愛知がんセンター),園田俊郎(鹿児島大・医)
S7-2 野生savanna monkeyにおける集団遺伝学的研究
嶋田 誠(国立遺伝研・進化遺伝研究分野)
S7-3 アジアおよびヨーロッパの集団における補体C9欠損遺伝子R95Xの分布
西向弘明 (愛媛大・医),沖浦達幸 (愛媛大・医, 愛媛科捜研),西村浩治 (愛媛大・医),福森泰雄 (大阪府赤十字血液センター),針原伸二 (東京大・理)
S7-4 イヌにおけるドーパミン受容体D4遺伝子多型領域の解析
新美陽子,松浦直人,井上-村山美穂,伊藤愼一(岐阜大・農)
S7-5 霊長類進化過程での遺伝子獲得と新たな生理機構の獲得,突然変異による喪失
竹中 修(京都大・霊長研)
〜17:30
コメンテーター:井上-村山美穂 (岐阜大・農),今西規 (産業技術研)
シンポジウム8 C会場
骨盤:歩行と出産のパラドックス(キネシオロジー分科会第46回シンポジウム)
オーガナイザー:馬場悠男(科博・人類)
人類が直立二足歩行を獲得するにあたって,最も大きな変化を遂げたのは骨盤の構造である.内臓を容れ,体幹と上体を支え,下肢を駆動するために,骨盤は,シャモジを二つ並べたような構造からドンブリのような構造になった.その結果,女性は,シャモジの柄の間からではなくドンブリの底から赤ん坊を産まなければならなくなった.しかも,脳容積の増加と共に,頭の巨大化した赤ん坊は,ドンブリの底にあいている骨盤口を(進化の過程でも,妊娠期間中でも,出産時でも)無理矢理押し広げ,歩行のための最適な構造を脅かそうとしている.一方,出産義務のない男性は,不届きにも,歩行のために最適な構造を取ろうとして,骨盤に性差を生じさせている.
14:30〜 S8-1 骨盤の進化と明石寛骨の解釈
馬場悠男(国立科学博物館・人類)
S8-2 骨盤から得られる古人口学的情報ー年齢と妊娠経験の多寡ー
五十嵐由里子(日大・松戸歯・解剖)
S8-3 現代日本人骨盤の3次元形状の性差
高橋秀雄(独協医科大・解剖)
〜17:30 S8-4 現代日本人骨盤性差に関する三次元的形態解析
松川慎也(東京大院・理学)
一般口演:保護・管理 A会場
15:45 A1 桂皮酸アミドを用いたニホンザルにおける嫌悪条件付け
室山泰之(京都大・霊長研・野外施設),杉浦秀樹(京都大・霊長研・社会生態),飯田景子,浅岡一雄(京大・霊長研・分子生理)
16:00 A2 青森県西目屋村における猿害の事例報告
安岡宏和(京都大・アア地域研究科・アフリカ)
16:15 A3 野生ニホンザルによる農作物被害の現状と対策ー白神山地山麓地域の事例ー
今井一郎(関西学院大・総合政策,白神山地野生ニホンザル研究会),和田一雄(野生生物保護学会)
16:30 A4 川辺川流域の野生ニホンザルーその被害と生息状況ー
藤井尚教(尚絅大・文)
一般口演:成長・老化 D会場
15:30 D33 チンパンジー脳形態の生後発達
三上章允(京都大・霊長研・行動発現),西村剛(京都大・霊長研・形態進化),田中正之,友永雅巳,松沢哲郎(京都大・霊長研・思考言語),鈴木樹里,加藤朗野,松林清明,後藤俊二,橋本ちひろ(京都大・霊長研・進化モデルセンター)
15:45 D34 チンパンジー幼児における音声器官形態の成長変化(予報)
西村剛(京都大・霊長研・形態進化),三上章允(京都大・霊長研・行動発現),早川清治,濱田穣(京都大・霊長研・形態進化)
16:00 D35 ニホンザルの体脂肪とその季節変化
濱田穣,早川清治(京大・霊長研・形態),鈴木樹里(京大・霊長研・人進センター),大蔵聡(農水省・家畜試験場)
16:15 D36 北京の子どものTW2骨成熟
芦澤玖美,熊倉千代子,史周霞(大妻女子大・人間生活科研),金峰,曹京魏(中国科学院・遺伝研),楠本綾乃(株式会社シンエイ)
16:30 D37 パプアニューギニアにおけるフリ高地人とマヌス島嶼民の成長と栄養
河辺俊雄(高崎経済大・地域政策・人類生態)
16:45 D38 体型の発達と運動能力の発達の関係
高井省三,増尾奈々絵(筑波大・体育),
17:00 D39 高齢期の大腿骨近位部骨密度の経年的変化に関連する要因の分析
鈴木隆雄,吉田英世,金憲経(東京都老人研・疫学)
17:15 D40 透過電顕による骨格筋年齢変化に関する予備的研究
北條暉幸(産業医科大 名誉教授)