7月13日(金)午後
シンポジウム3 A会場
新世紀の人類学・霊長類学
(進化人類学分科会シンポジウム・文部科学省COE拠点形成プログラム共催)
オーガナイザー:竹中修(京都大・霊長類研究所)
理学の分野において20世紀後半は生物学の時代とする意見がある.前半の相対論,量子論の物理学時代との対比の考え方である.生物学の時代のその初期はバクテリアからヒトまでの生命の統一原理の追求であったのに対して,1980年代後半からDNAを基礎とした生物の多様性とその進化が注目されている.われわれの地球はなぜこのような多様な生命の活動を支えて来られたのだろうか.そしてヒトはそれとどうかかわって行くのか.
新しい世紀を迎えるちょうどその時にヒトゲノムが解明された.人類学,霊長類学に対するインパクトは計り知れない.「新世紀の人類学・霊長類学」シンポジウムを企画した.日本のゲノムプロジェクトのリーダーからの基調報告に加え,人類学,霊長類学を構成する行動・社会学,形態学,脳・認知科学,分子生物学からの新しい世紀の展望をお願いした.
15:30〜 S3-1 ヒトゲノム計画の進展と人類進化研究へ
榊佳之(東京大・医科研)
S3-2 生物多様性の遺伝的基礎を考える
植田信太郎(東京大・理・生物科学)
S3-3 アフリカ類人猿の社会生態学的研究の展望
古市剛史(明治学院大・一般教育部),山極寿一(京都大・理学部)
S3-4 ヒト上科の進化—研究の現状と新しい世紀への展望
国松 豊(京都大・霊長研)
〜18:30 S3-5 類人猿の比較認知研究 - 今後10年の展望
友永雅己(京都大・霊長研)
シンポジウム4 B会場
古人骨の受傷痕:その事例と原因武器
(骨考古学分科会シンポジウム・文部科学省科学研究費補助金「地域連携推進研究」協賛)
オーガナイザー:片山一道(京都大・霊長類研究所)
かならずしも多くはないが,ときに考古学の遺跡で発見される古人骨のなかには,なんらかの武器類で受傷し,それが原因の一部となって死亡したとおぼしき事例がある.ことに多く見つかるのが弥生時代の人骨である.これまでに北部九州や近畿地方のいくつかの遺跡で発見されている.このことは弥生時代になって武器類が発達し,戦争行為などの社会的な軋轢が増してきたことを物語っており,考古学で得られた知見とも合致しており,さまざまな興味を引こう.最近では,鳥取県の青谷上寺遺跡で殺傷痕らしきものが刻まれた弥生時代の人骨が大量に発見され,この問題は大きくクローズアップされるところとなった.受傷痕をもつ人骨の事例が急速に増し,その原因武器と実際の損傷形態との因果関係を定量的に検討する道が開けてきたからである.このシンポジウムでは,各地の弥生時代人骨,さらには鎌倉時代の人骨で見つかった刀創痕などの事例を報告しあうとともに,古代の武具類等についての考古学の最新の知見に照らしみることによって,闘争手段や闘争形態の詳細について考えてみたい.
15:30〜 S4-1 青谷上寺地遺跡出土弥生人骨の殺傷痕について
井上貴央,松本充香(鳥取大・医・第2解剖)
S4-2 古人骨の刀創例 -鎌倉中世人骨を中心に-
平田和明,奥千奈美,星野敬吾(聖マリアンナ医大・解剖)
S4-3 大友遺跡第5・6次発掘調査出土人骨
中橋孝博(九州大・大学院比較社会文化研究院)
S4-4 奈良四分遺跡で出土した弥生人骨の斬創および刺創
大薮由美子,片山一道(京都大・霊長研)
S4-5 鳥取県青谷上寺地遺跡出土人骨の傷痕と武器の同定
深澤芳樹(文化財研究所)
S4-6 弥生時代の武器
松木武彦(岡山大・文)
〜18:30 総合討論
一般口演:骨と歯の形態学 C会場
15:30 C14 頭蓋最大長と上腕骨計測値の間に見いだされた強い関連
溝口優司(科博・人類)
15:45 C15 脳頭蓋および顔面頭蓋各部の計測学的関連性
竹内修二(慈恵医大・解剖),影山幾男(日本歯大新潟・口腔解剖),加藤征(慈恵医大・解剖)
16:00 C16 脳頭蓋形態の江戸時代変化について
中島雅典(東京大学・理・人類)
16:15 C17 日本人頭骨底面観の時代変化
梶川信夫(都立大・理・生物)
16:30 C18 リスザルの乳臼歯と大臼歯の大きさ
近藤信太郎(昭和大・歯),名取真人(岡山理科大・理),花村肇(愛知学院大・歯)
16:45 C19 現代人第一大臼歯のエナメル分布パターンの分析
河野礼子(東京大・理・生物科学),諏訪元(東京大・総合研究博物館)
一般口演:社会 D会場
15:30 D13 ワオキツネザルの性差
相見滿(京都大・霊長研),小山直樹(京都大院・アジア・アフリカ地域研究)
15:45 D14 マダガスカル,ベレンティ保護区におけるワオキツネザルのオスの移出入
小山直樹(京都大・アフリカ研)
16:00 D15 キンシコウの群れ構造
福田史夫(共立薬科大),和田一雄(西北大学),李保国(西北大学)
16:15 D16 ヘックモンキー/トンケアンモンキー混血群の群れ内・群れ間の社会交渉
榎本知郎(東海大・医・形態),渡邊邦夫(京都大・霊長研・野外観察施設)
16:30 D17 野生ケナガクモザルの日内グルーピングパターン
下岡ゆき子(京都大・霊長研・社会)
16:45 D18 続・クモザルのモビングコールとロングコール
伊沢紘生(宮城教育大)
17:00 D19 なぜチンパンジーはmale-bondを形成するのか
杉山幸丸(東海学園大・人文)
17:15 D20 野生チンパンジーの植物性植物の分配:タンザニア・マハレの事例から
中村美知夫(日本モンキーセンター),伊藤詞子(京都大・理・人類進化論)
17:30 D21 野生ボノボにおける母子間の食物分配について
橋本千絵(京都大・霊長研・社会構造)
17:45 D22 《今西進化論再構築》「ヒト生態史」“種社会選択説”提起 その2 “種社会選択”の起源とメカニズム
水幡正蔵(在野の研究者)