7月13日(金)午前
シンポジウム1 A会場
シリア,デデリエ洞窟調査10年の歩み
オーガナイザー:石田 肇(琉球大・医・解剖学第一)
シリア,デデリエ洞窟は,1987年,日本・シリア両国の合同調査によって発見され,1989年に開始した発掘調査によって,レヴァント地域で同定されている中期旧石器,いわゆるムステリアンを包含する地層と同じく同地域の中石器を代表するナトウーフィアンを包含する地層が極めて良好な状態で堆積していることが判明した.発掘の進展とともに,両地層から石器,動物化石,植物化石が発見された.そして,中期旧石器の地層から化石人骨が発見され,その数は,今日までに,最小個体数にして10個体にのぼる.なかでも,1993年に発見されたデデリエ洞窟第一号埋葬人骨(以下1号人骨),1997年に発見された同第二号埋葬人骨(以下2号人骨)は,その出土状態および保存状態の良好さによって数々の新知見をもたらす可能性がある.今回は,10年を超えるデデリエ洞窟調査について,ネアンデルタール人骨の発見を中心に総括することを目的とする.具体的には,発掘調査,ネアンデルタール人骨,中期旧石器および年代測定に分けて,それぞれの専門家が紹介するとともに,さらには,コンピュータを用いた化石人骨の復元のもたらす今後の研究の展開を紹介していきたい.
8:30〜 S1-1 シリア,デデリエ洞窟の発掘
赤澤威(日文研),スルタン・ムヘイセン(ダマスカス大・文),百々幸雄(東北大院・医),石田肇(琉球大・医),近藤修(東京大院・理),クリストフ・ダリゴ(グノーブル大・古生物)
S1-2 シリア,デデリエ洞窟出土ネアンデルタール人骨
石田肇(琉球大・医),近藤修(東京大院・理),百々幸雄(東北大院・医)
S1-3 シリア,デデリエ洞窟の中期旧石器
山科哲(明治大・文),スルタン・ムヘイセン(ダマスカス大・文),赤澤威(日文研)
S1-4 デデリエ洞窟遺跡における分子種レベルでの放射性炭素年代決定
米田穣,柴田康行,森田昌敏(環境研・化学),廣田正史(環境研究セ),内田昌男(海洋科学技術セ),赤澤威(日文研)
S1-5 デデリエネアンデルタール幼児の復元
Christoph Zollikofer,Marcia Ponce de Leon(チューリッヒ大),○近藤修(東大・理),石田肇(琉球大・医),鈴木宏正(東京大院・工),小林靖,土屋一洋(杏林大・医),赤澤威(日文研)
〜11:45 総合討論
シンポジウム2 B会場
音声人類学入門
オーガナイザー:本多清志(ATR)
音声は人間の生活においてあるいは社会の形成において大きな位置を占めている.音声の役割を考えてみると,思考の媒体として筋道の理解や言語行動の準備に用いられる,情報交換の媒体として通信に用いられる,情緒的意識を反映する媒体として人間関係の醸成に用いられる,生物学的情報の媒体として個人認証に用いられる,などの種類に分けることができる.音声の研究は,これらの多種多様な課題を扱う領域群として長い歴史をもつが,もちろん残された課題の方が大きい.その一例として人間の音声を支える生物学的背景の問題があげられる.言語の体制を支え発声と聴覚を結ぶ大脳の拡大が重要であることはいうまでもないが,このほかに,音節の生成については呼吸,発声,発話の随意運動を独立に調節する神経回路の発達が不可欠であり,音韻体系の成立にあたっては,音源を調節する喉頭機能の分化や,喉頭下降と並行して生じた舌などの発話器官の形態的変化が重要な役割を果たしているであろう.さらに,これらの生物的要因が人間と動物の間でどのように類似し,人間のことばが進化する過程をたどる際にどのような手がかりとなるかは誰もが興味をもつことではないかと思われる.このシンポジウムでは「音声人類学入門」と題して,音声に関わる生物的背景を議論したい.
8:30〜 S2-1 喉頭機能の樹上運動への適応とその人類進化への意義
葉山杉夫(葉山霊長研・機能形態)
S2-2 チンパンジーの音声・聴覚機能
小嶋祥三(京都大・霊長研)
S2-3 話し言葉における喉頭の機能
新美成二(国際医療福祉大)
S2-4 話し言葉を支える舌の形態と機能
竹本浩典(ATR)
〜11:45 S2-5 呼吸,嚥下,そして発話の進化
西村剛(京都大・霊長研)
一般口演:古人骨 C会場
8:30 C1 千葉県平戸台2号墳出土人骨について
橋本裕子(総研大院・文化科学・国際日本)
8:45 C2 特異な状態で出土したクック諸島・ラロトンガの先欧期ポリネシア人骨
吉田俊爾,佐藤巌(日本歯科大・歯・解剖1),岡嶋格(東横学園女子短期大)
9:00 C3 柊原貝塚縄文人骨に見られた下顎治癒骨折
峰和治(鹿児島大・歯・口腔解剖),小片丘彦(鹿児島大・名誉教授)
9:15 C4 大腿骨骨体断面形状からみた関東縄文時代人の特徴
木村賛(東京大・理・人類)
一般口演:生態 C会場
9:30 C5 GPSテレメトリーによるニホンザルの遊動調査
D.S. Sprague(農環研),蒲谷肇(東京大・演習林),萩原光(房総のサル管理調査会)
9:45 C6 ブロック分割定点調査法によるニホンザル集団密度の推定
半谷吾郎(京都大),好廣眞一(龍谷大),座馬耕一郎(京都大),高畑由起夫(関西学院大),久保律子
10:00 C7 マハレの昼行性中・大型哺乳類,とくに霊長類の生息密度:1996年と2000年の比較
上原重男(京都大・霊長研・生態機構)
10:15 C8 東京都に生息する盆堀群の分裂
井口基(西多摩経済事務所・農務課)
10:30 C9 スラウェシマカク雑種個体群の研究
渡邊邦夫,後藤俊二(京都大・霊長研),榎本知郎(東海大・医)
10:45 C10 ガボン・モカラバリザーブにおける類人猿の人付けの可能性にいて
岡安直比(ハウレッツ財団),西村剛,濱田穣(京都大・霊長研・形態)
11:00 C11 チンパンジーはどこに泊まるか:地形・植生・採食樹からの検討
古市剛史(明治学院大・一般教育部),橋本千絵(京都大・霊長研・社会構造)
10:15 C12 アフリカ熱帯雨林に居住するピグミー系狩猟採集民の栄養状態と
フィジカル・フィットネス
山内太郎(東京大・医・人類生態)
10:30 C13 長い後肢がもたらした乾燥地における採食上のメリット:パタスモンキーとヒトのアナロジー
中川尚史(神戸市看護大)
一般口演:行動・認知 D会場
8:45 D1 コインを用いた役割分担課題におけるチンパンジー同士のコイン
の受け渡し
平田聡,クローディア=ソウザ(京大・霊長研)
9:00 D2 マカカにおける母性行動がアカンボに及ぼす影響
M. Bardi,M. A. Huffman(京大・霊研)
9:15 D3 ニホンザル幼児がシラミ卵押収を許容する(知識を引き出す)条件
田中伊知郎(四日市大・環境情報)
9:30 D4 個別飼育されたカニクイザルへの天井フィーダーの導入の効果
友永雅己(京都大・霊長研・思考言語)
9:45 D5 新世界ザルにおける‘行為のワーキングメモリ’の比較研究
辻本悟史(北海道大・文・心理),澤口俊之(北海道大・医・機能分子),
一般口演:ウイルス・遺伝子発現 D会場
10:00 D6 改良HVP2-ELISAの確立およびBウィルスSPFモニタリングへの応用
光永総子,中村伸(京都大・霊長研),林隆志(イナリサーチ),N.L.J.Miranda(INARP),長文昭(イナリサーチ,筑波医用霊長類センター),清水慶子(京都大・霊長研),植田昌宏(エスアールエル),R. Eberle(OSUVM)
10:15 D7 Bウイルスに対するDNAワクチンの開発
平野真,中村伸,光永総子,岡田真紀,清水慶子(京大・霊長研・分子生理),Alice Bennett(化学生物防疫セ),Richard Eberle(オクラホマ州大)
10:30 D8 SDF-1遺伝子3'非翻訳領域におけるメチル化とmRNA発現
木村亮介,石田貴文(東京大・理・生物科学)
10:45 D9 カニクイザル脳組織におけるPresenilin蛋白の検索
木村展之(東大・実験動物),中村紳一朗(日獣大・獣医病理),吉川泰弘(東大・実験動物)
11:00 D10 カニクイザル末梢リンパ球におけるプリオン分子の発現
村山裕一(農水省・家衛試,科技団・科技特),向井鐐三郎(感染研・筑波霊長類センター),三浦克洋(農水省・家衛試)
11:15 D11 マカク延命細胞にみられたp53遺伝子異常
清水裕子(東京大・理・人類),寺尾恵治(つくば霊長類センター),石田貴文(東京大・理・人類)
11:30 D12 レトロウイルスベクターを用いたカニクイザル造血幹細胞への遺伝子導入
柴田宏昭(感染研),花園豊,長島建之(自治医大),揚山直英(感染研),浅野隆之(自治医大),上田泰次(DNAVEC),久米晃啓(自治医大),加藤郁之進(宝酒造),長谷川護(DNAVAC),小澤敬也(自治医大),寺尾恵治(感染研),吉川泰弘(東京大)