7月12日(木)
霊長類学会自由集会
理学2号館講義室
自由集会1 第1講義室(12:30〜15:45)
第3回サル類の疾病に関するワークショップ
責任者:柳井徳磨
連絡先:〒501-1193 岐阜市柳戸1-1 岐阜大学獣医学部病理学教室
電話 058-23-2944 電子メール yanai@cc.gifu-u.ac.jp
最近,ヒトに近縁なサル類を用いた医用実験の機会が増加しています.これらの実験をデザインする際に飼育管理に関する技術は確立されているものの,その疾病を含めた病的状態に関する基礎情報は非常に少なく,また,研究者間の情報交換の場がないため,それぞれの経験をデータベースとして蓄積する方法がありませんでした.感染症新法の実施にともなう動物検疫の基礎となる感染症に関する情報や,医薬品開発のための薬効,安全性試験の基盤となる,自然例での感染症,腫瘍,加齢性疾患に関する情報を互いに持ち寄り,日本における感染症を含めたサル類の病態,病理の情報交換の場を確保する目的で本ワークショップを開催します.
1.安全性評価で問題になるサルの自然発生性病変
渡辺満利,下井昭仁(持田製薬),小泉治子(日本たばこ)
サルを用いた安全性試験に遭遇する自然発生性病変につき概説する.
2.京大霊長研におけるサル類の疾病
後藤俊二(京大霊長研)
京大霊長類研究所における,サル繁殖コロ二ーに認められた疾病の変遷について述べる.
3.エボラレストンの自然感染例の病理
池上徹郎(東京大学大学院)
フィリピンにおけるエボラレストン株の感染例の病理学的特徴を紹介する.
4.サルにおける下痢症の臨床
小野文子(予防衛生協会)
サルの臨床でしばしば問題となる下痢症について,事例をあげて概説する.
5.症例報告
自由集会2 第2講義室(12:45〜15:45)
霊長類の保護と利用 -和歌山タイワンザル問題の現状と保全生態学からみた移入種問題-
責任者:和秀雄,大沢秀行,丸橋珠樹
連絡先:(丸橋珠樹)〒176 練馬区豊玉上1-26-1 武蔵大学人文学部
電話 03-5984-3847 電子メール maruhasi@cc.musashi.ac.jp
和歌山県のタイワンザル問題では,捕獲個体を安楽死させる案への反対意見が県に集中して出されたため,「不妊処置後,島に放獣する」,「大きな囲いを作ってその中で飼育し続ける」というような代替案が検討されたが,いずれも問題があり断念された.3月現在では捕獲計画が宙に浮いた状態となっている.
昨年(2000年)11月にPSJ会長と保護理事が環境庁へ要望に行き,2001年3月の理事会では,学会として県に対して早急に要望書を出すことになった.本自由集会では,これまでの経緯を報告するとともに,保全生態学からみた移入種問題について理解を深めていきたい.
自由集会3 第3講義室(12:45〜15:45)
霊長類の研究利用:野生ニホンザルを中心に
責任者:上野吉一
連絡先:〒484-8506 犬山市官林 京都大学霊長類研究所 人類進化モデル研究センター 生命倫理研究領域
電話 0568-630561 電子メールokuma@pri.kyoto-u.ac.jp
昨年末の新聞報道をはじめとし,野生ニホンザルの研究利用が社会的問題となってきている.これは研究利用のみならず,野生ニホンザルの保護と管理という点とも関る問題である.霊長類学会は野生ニホンザルの実験利用に対し批判的な姿勢を示したきているが,他学会には実験利用を望む声がある.野生ニホンザルの保全と倫理に配慮したルール作りのためには,現状を整理し問題点を明らかにすることが必要である.そこで本集会では,異なる立場からの意見を聞き,より社会的合意の得られる霊長類の研究利用の道を考えたい.
野生ニホンザルの研究利用に対する社会的関心(仮題)
清水弟(朝日新聞)
エンドユーザーとしての自己規制とその可能性(仮題)
伊佐正(生理研)
野生ニホンザルの管理・保全における問題点(仮題)
室山泰之(京大・霊長研)
実験動物としての野生ニホンザル(仮題)
鳥居隆三(滋賀医大)
平成13年度文部科学省科学研究費補助金「研究成果公開促進費」補助事業
公開シンポジウム1・今西錦司博士生誕100年記念
伝えること,学ぶことの原点:霊長類学からのメッセージ
人間環境学研究科地階大講義室
オーガナイザー:西田利貞(京都大・理)
教育問題は,現在多くの国で真剣に取り組む国家的な問題となっています.わが国では,学級崩壊,友達の不在,低年齢殺人,ひきこもり,パラサイト・シングルなど,さまざまな問題が顕在化し,それに対処するための真剣な取り組みが各地で行われています.近頃の子どもは,「喧嘩の仕方を知らない」,「挨拶ができない」,「質問をしない」,「乗り物で席を譲らない」,「ひとりで食事をする」など,いろいろな批判も飛び交っています.
日本の霊長類学は,1948年,今西錦司博士の指導下で始まりました.その後50余年にわたりヒト以外の霊長類の行動や社会,生態,心理に関する資料を蓄積してきました これらの研究成果は,上にあげた問題の解決に,なんらかの示唆を与えることができるのでしょうか? 今回の公開シンポジウムは,子ザルが母親や,遊び仲間や大人のメンバーとどのようにつきあい,なにを学んでいくのかを論じて,議論の材料を提供したいとおもいます.教育問題は学校のみの問題ではありません.家庭や地域社会のあり方が大いに関係するでしょう.参加者とともに明日の教育を考える機会となるよう願っています.
16:00〜16:10 古市剛史(明治学院大)趣旨説明
16:10〜16:45 西田利貞(京都大・理)日本サル学と文化の研究
16:45〜17:20 田中伊知郎(四日市大)母はなにを伝え,子はなにを学ぶか
17:20〜17:55 明和政子(京都大・霊長研)遊ぶこと・学ぶこと
17:55〜18:30 橋本千絵(京都大・霊長研)オトナたちから学ぶ性と社会行動
18:30〜18:50 総合討論 司会:古市剛史